過ぎた対策を否認!【判例】はムズイ

”相続税対策”をネットで調べると、いくつかのサイトで「借入金をして不動産を購入すれば、税金が大幅に圧縮、非課税になる場合もあります」という意味合いの言葉を見ます。別に間違った事を言っている訳ではないのですが、「結果として、相続税が大幅に軽減された」のと「相続税を大幅に軽減するためにした」のとでは若干、当局の判断も変わる事があるようです。

簡単に「借入金をして不動産を購入すれば、税金が大幅に圧縮、非課税になる場合もあります」が、「なぜ、そうなるのか?」と言うと、①相続税評価額は実際の時価より低く、②借入金は債務として財産から控除できる、からです。

つまり、①資産を1億円有している被相続人が、②2億円を借金して2億円の不動産を購入し、③その後に死亡した場合に、2億円の不動産の相続税評価額が1.5億円だったとすると、被相続人の財産は元からある1億円の資産と新しく購入した不動産1.5億円(購入額は2億円)、それに購入するための借金2億円となりますので、遺産総額は2.5億円となりますが債務控除により課税財産は5千万円となります。

もともと、1億円の財産が5千万円に圧縮されたことになります。この例よりも不動産の価格差は「ところにより」もっと大きくなることがありますから、相続税の”基礎控除額”によっては税金が”0円”となることも起こりえます。

すべて適法ですが、なんだかモヤっとした感じを受けた人もいるのではないですか?僕もその一人でした。1億円の財産に相続税が課されるところ、高齢者が多額の借入金をしてまで必要としない不動産を購入した上、相続税の申告を終えたあとに、その不動産を売却して借入金の返済に充てるなんて、合法かも知れませんが何か「間違っている」気がします。

令和4年4月に最高裁で出た判決では、「税負担の公平さを著しく害する」として相続税基本通達を利用した相続税評価額でなく実勢価格(鑑定評価額)に拠って相続税を計算しています。判決は常に個別事情に基づく判断ですから、「借入金で不動産を購入」した場合のすべてに当てはまる訳ではありませんが、「行き過ぎた相続税対策」とならないように注意が必要です。

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