未成年者が相続税の申告をする場合
相続はいつ誰に起こるのか分からないので、時に若い世代の方でも被相続人になります。そんな時に、残された遺族の中には未成年の方がいることがあるのですが、未成年者の申告にはいくつかの留意点があります。

1 特別代理人の選任
「相続人が未成年者であれば親が代わりに申告すればいいでしょ」と言われる場合がありますが、”アタリ”の部分があるものの、多くのケースでは”ハズレ”になってしまいます。相続税の申告は未成年者ができない”法律行為”であるために「法定代理人」を家庭裁判所に申し出て選任しなければなりません。しかし、共同相続人に配偶者がいる場合などでは、親と未成年の子が同じ立場の”相続人”となり、遺産を取得し合う「利益相反」関係になるため「親が(特別代理人となって)代わりに申告」できないのです。
法定代理人の選任には相応の日数がかかりますので、相続税の申告期限に間に合わない場合は「不備」な状態でも申告を済ませておかなければなりません。もちろん、遺産分割協議はできませんので「未分割」となります。
2 未成年者控除の適用要件
(1)相続や遺贈で財産を取得したこと
他の要件をすべて満たす未成年者である相続人が居たとしても、相続等により何も取得していなければ未成年者控除は適用できません。取得さえおけば相続税額が0円でも問題ありません。
(2)相続開始時に18歳未満であること
控除額を求める時に18歳に至るまでの年数を計算するのですが、1年未満の端数処理で間違いが起こりやすいです。税法では「十八歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)」と規定されています。1年未満の端数(月数)を切り上げるので、「達するまでの年数」では「〇才●か月」の「●か月」部分を無視して計算すれば良いのです。例えば、相続人が15歳9か月であれば、18歳に達するまでの年数は「3年」となります。
(3)法定相続人であること
例えば、孫に遺言で財産を取得させた場合を考えてみると、孫は財産を遺贈で取得しましたが「法定相続人」ではないので未成年者控除は適用されません。ただし、親が先に死亡しているような代襲相続の場合では法定相続人に当たります。養子も法定相続人になりますし、基礎控除の計算の場合のような”人数制限”はありません。
(4)無制限納税義務者であること
「無制限納税義務者」であることの定義をすべて書き出すことは難しいので、日本に住所があれば適用できる場合がほとんどです。
3 未成年者控除の計算方法
未成年者控除額=(18−相続開始時の年齢)×10万円 ※前述(2)のルールに気を付けてください。
4 未成年者である相続人の納税額で控除しきれない場合
控除しきれない未成年者控除額は”扶養義務者(親、兄弟姉妹、祖父母など)”である他の相続人から差し引くことができます。他の相続人が複数名いる場合は相続税額で按分しても協議で配分しても構いません。
5 過去に未成年者控除を適用した事がある場合
該当するケースは少ないのですが皆無ではありません。簡単に言いますと、過去に適用を受けた未成年者控除の控除額で使いきれなかった残高の範囲でしか適用できません。18歳に達するまでの年数で計算しますので、必ず過去の控除額の方が大きくなりますが、扶養義務者が適用した額も含めて、満額控除した過去があれば、今回の相続による控除額は残っていないことになります。


