認知症と相続について 1
認知症は加齢に伴って発症リスクが高まるため、内閣府のデータなどによると80歳以上の高齢者では約5人にひとりは認知症、あるいはその可能性があると推計されています。高齢化が進む中で相続税対策を施す期間が長くなったと言えますが、それは認知症が発症しない前提ともいえます。
認知症になったら相続税対策はストップ?「資産凍結」への備え
相続対策(生前贈与、遺言書作成、収益不動産の購入等)のほとんどは、本人に「明確な意思能力」があることを前提としています。意思能力が不十分とみなされると、様々な法律行為ができなくなり、それまで準備していた生前贈与などの相続税対策がすべてストップしてしまう可能性があります。
イ 銀行等口座の凍結
ロ 不動産の売却や購入の不可
ハ 生前贈与による相続税対策の中止
ニ 遺言書の作成や改定の不可 など
「資産が凍結されてしまう」という問題です。
資産凍結のリスクについて
本人の判断能力が低下すると、具体的に以下のような不都合が生じます。
イ 銀行等口座の凍結 : 本人確認により意思能力が認められなければ、定期預金の解約や高額な出金ができなくなります。また、介護費用や医療費が必要になっても、預金口座から出金することが難しくなります。
ロ 不動産の売却や購入の不可 : 自宅等を売却して老人ホームの入居金等に充てることができなくなります。また、新たな賃貸物件の取得や、新たな賃貸契約の締結などもストップします。
ハ 生前贈与による相続税対策の中止 : 贈与は「あげましょう」「もらいましょう」という意思の契約であるため、意思能力が認められなければ無効となります。
ニ 遺言書の作成や改訂の不可 : 認知症は徐々に進行しますので、遺言書作成時にどの程度の意思能力を有していたのかによって、親族間で遺言の無効訴訟が行われる事があります。
※実際には、ATMなどで家族が出金していると銀行等が口座名義人の認知症の進み具合などを、知り得る事は少ないようですが、人の口に戸は立てられないので誰かが”つい”漏らしてしまう事があるようです。
次回は「資産凍結を防ぐためにできる事」をお伝えします。



