相続 ~ 申告までの道すがら 3
相続税は不動産や現金・預貯金亡くなった人が保有していたすべての財産が税金の基礎控除を超える場合にかかります。現行法では、「3000万円 + (法定相続人数 × 600万円) 」となっており、相続人が多いほど基礎控除額が多くなります。
遺言書があるか
相続が発生すると、不動産や預貯金口座などの名義を変更しなければならないのは良く知られていますが、実際に、「相続人(遺族)の誰が何をもらう(相続する)のか」を相続人間で相談するためには被相続人(亡くなった人)の財産(遺産)の明細書を作らなければなりません。もし、「不動産と○○銀行だけだ」のように遺産分割する財産が少なければ明細書の必要はないかも知れませんが、今後、必要となる「遺産分割協議書」をスムーズに作成するためにも「財産目録(財産明細書)」は作っておく方が良いと思います。
そうは言っても、財産の事が一番分かっている”被相続人”抜きで遺産を調べるのは、案外、簡単ではない事が多いのです。相続人らが知らなかった金融機関を税務調査によって指摘される場合も皆無ではありません。亡くなった人ですら何十年も開けていなかった貸金庫があった事例もあります。
ですが、財産の事を一番分かっている人が生前中に「遺言書」を作成していれば、相続人の財産確認の手間は少なくなり、財産明細書の精度は高くなることでしょう。配偶者が存命であれば遺言書の有無は比較的明らかになるのですが、「遺言書を書いてある」とだけ相続人が知らされていたとしたら子供らは家中を探すことになるでしょう。
遺言書の保管場所の一例 : 自宅(金庫、書斎、タンスなど)、事務所、貸金庫、信託銀行、公証役場
探す手立てにも影響するのですが、「どんな遺言書を作ったか?」が重要となります。つまり遺言の種類には「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
・公正証書遺言 : 一般的には、法的不備の無い「公正証書遺言」を作成するケースが多いようです。その場合は公証役場で保管されていますので、探す手間はかかりません。ただ、行政書士や弁護士に依頼する場合が多いので、相応の費用がかかります。
・自筆証書遺言 : 次いで多いのは「自筆証書遺言」です。映画やドラマでよく見聞きする「遺言書」ですが、テレビのように担当の弁護士が正しい遺言の形式である事を確認しながら作成されたものであれば問題はなのですが、実際には遺言書として守られるべき”決まり事”が不十分だったために遺言書として有効にならない場合もあります。また、自宅等で自筆証書遺言が発見された場合は家庭裁判所の検印を受ける必要があります。
ところが、遺言書は何度でも書き直せるので、作成年月日や認知機能など作成時の作成者の状況によって、複数の遺言書があったり「自筆証書遺言の無効訴訟」が提起される場合もあって、「遺言書があるから」といっても簡単に遺産分割が進むとは限らないようです。
ただ、令和2年以降は法務局で自筆証書遺言保管制度が始まりましたので、紛失や改ざんが防止でき、作成コストの安い自筆証書遺言が増えています。
※「秘密証書遺言」は、作成件数が少ないため説明を割愛します。



