”引き渡し”と”残金決済”が済んでない土地【売主編】
人が亡くなるタイミングは計れませんから、たまたま、売主として土地の売買契約を交わした後で被相続が亡くなった時は「相続財産は何になるのか?」で悩まされることがあります。まだ、引き渡してないのだから、”土地”だとすれば、実際の売買価額より安いことの多い相続税評価額で計算しますが、すでに、売買契約が成立しているのだから”代金をもらう権利”に変わっているので未収金(貸付債権)となります。
相続税を計算する時の原則は「亡くなった時の時価で税金の計算をする」ので売買契約が成立した後の状態であれば、”譲渡価額”からすでに入金された手付金を除く、”残代金請求権(未収入金)”を相続財産として計上することになります。

例)
甲さんは土地(相続税評価額1500万円)を有していたが、5月に2000万円で譲渡する売買契約書を交わし、買主の乙さんから手付金200万円が甲の取引銀行に振り込まれた。買主乙の資金調達の都合で土地の引き渡しを8月としていたが、7月に甲さんが急死した。
この場合に、甲さんの相続財産は、土地ではなく、残代金1800万円を乙さんに請求する権利になります。つまり、相続税評価額だと1500万円だった土地が手付金と残代金請求権を合わせた譲渡代金と同額の2000万円を時価として相続税が計算されます。
さらに、この土地が甲さんが長年所有していたものなら、”譲渡所得”が発生すると考えられます。譲渡所得を”収入すべき時期”は原則として”引渡しの日”で考えるのですが、”契約の日”を選択して申告する事も認められています。そうすると、例題のケースだと、契約ベースで甲さんが申告(準確定申告)しても、引渡しベースで相続人が申告(通常の確定申告)してもいい事になります。
「どうせ、申告するんやったらどっちでもええやん」と言われそうですが、譲渡所得が軽減される”取得費の加算”や、譲渡代金以外の収入、相続人の所得金額が上がる事の影響なども考えて、被相続人の所得とするか、相続人の所得とするかを検討するだけでトータル的な支出の軽減になります。
今回は売主さんに相続が発生した場合について説明しましたが、次回は買主さんに相続が発生した場合を説明します。


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