相続時精算課税制度で勘違いしそうな点

贈与税の「相続時精算課税方式」については、1/31と2/2の2回に分けて「相続の時に精算する課税方式」で制度の概要や活用方法を説明しましたが、今回は「だいたい分かってる」人が勘違いしてそうなポイントを考えてみました。人によって”勘違い”しているところが違うので、「そんなやつ居らんやろ」と思うかもしれませんが、確かめといて損はない情報です。

1 適用できるのは「推定相続人やから、孫は養子縁組しとかなアカン」という間違い。少し勉強した人が陥る勘違いで、相続時精算課税制度は贈与者に相続が発生したときに精算されるので、将来”相続人”となる者(推定相続人)に限ると、思ってしまうのです。考え方としては正しく制度を定めた相続税法では「推定相続人」までしか規定されていないのですが、租税特別措置法で贈与者の”孫”であれば「その年1月1日において18歳以上」やったらイイよって補完されているのです。つまり、結論は「孫であれば適用できる」のです。

ただし、孫の親が贈与者の養子となったために、途中から孫となったような場合は養子縁組の時期が問題になります。一例をあげてご説明しましょう。

(例)
2000年 Aさんに長男が誕生
2001年 Aさんが叔父と養子縁組
2002年 Aさんに長女が誕生
2026年 叔父(Aさんの養親)が長男と長女に1000万円ずつ現金贈与

Aさんは長男と長女に相続時精算課税制度を適用して申告するように言いましたが、長女しか適用できないのです。養子縁組による親族関係はAさんが養子となった時に発生するので、Aさんの長男と叔父は当然に親族関係にならず、本制度は適用できません。長男が1歳の頃から孫のように接してきたなら叔父の養子に迎えるなど親族関係を結んでおけば良かったのかも知れません。 

2 去年、父から2500万円の贈与を受けて中古住宅を買い”相続時精算課税”を適用して贈与税の申告をしたので、「今年は母から500万円を現金でもらったが、すでに非課税枠を使い切っていたので暦年課税方式で申告するしかない」という間違い。この制度の非課税枠を2500万円と理解していたから起こった勘違いです。相続時に精算するので、贈与者ごとに相続時精算課税制度が適用できます。つまり、贈与者は父の場合と母の場合でそれぞれ2500万円の非課税枠があります。暦年課税の基礎控除額がもらった側(受贈者)からみて110万円なのを知っていると勘違いしそうな点です。

この問題に派生した間違いとなりますが、「2年目も父から500万円もらったとすれば、非課税枠を使い切っているので暦年課税となり特例税率で48.5万円の贈与税」にはなりません。相続時精算課税制度の対象となる父(特定贈与者)からもらった非課税枠を超えた金額については一律20%の税率で贈与税が計算されますので、500万円×20%=100万円となります。