小規模宅地7 みすみすミスを見過ごせない

小規模宅地の特例は課税価格を80%も減額できる場合があるような、大きく税額に影響を及ぼす特例です。ですから、「うっかりミス」だったとしても、過大な税額の違いになり慎重に申告時の適用要件や更正の請求(過大に納めた税金の還付を受ける手続き。)の要件を見極めなくてはいけません。

小規模宅地の特例における、「ミス」の一例

・土地の利用区分を間違える : 例えば、①貸店舗の敷地を特定事業用宅地として選択し減額割合を間違ってしまう。②同族会社に貸している土地について、法人の事業内容を確認せずに特定同族会社事業用宅地としてしまう。(特定同族会社貸付事業用宅地の可能性があります。)③1階を店舗に貸し2階に居住しているような場合や、個人事務所の敷地の一部を貸駐車場としているような場合に、土地全体を特定居住用宅地等や特定事業用宅地等としてしまう。

・取得者の要件を間違える : 特例には事業や居住の継続要件や保有の継続要件があります。つまり、貸駐車場を取得した相続人が相続税を捻出するためにすぐに売却してしまうと、この保有要件を満たさなくなり、特例が適用できません。また、被相続人だけが住んでいた家屋の敷地が特定居住用要件を満たしていても相続による取得者の要件(例えば所有する自宅を持たないなど。)を満たさないと特例の適用はありません。

・3年ルールを見落とす : 特定事業用宅地等では相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等について、原則として特例の適用が制限されます。例えば、被相続人が亡くなる2年前に、それまで保有していた土地を利用して新たに事業を開始した場合があげられます。ただし、一定規模以上の事業を行っていた場合など、例外もありますが、重要なのは、この3年ルールは利用区分ごとに定められており、すべての小規模宅地等に一律に適用されるわけではないという点です。

更正の請求(税金の還付を受ける手続き。)の際に起こる「ミス」の一例

・分割協議が申告までに終わらなかった場合 : 今までにも触れてきましたが小規模宅地の課税の特例は「未分割の土地は選択できません」ので、遺産分割協議が相続税の申告までに整っていることが必要となります。もし期限内に協議が終わらない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告・納税を行い、分割確定後に「更正の請求」という手続きを経て過払い分の還付を受ける事ができます。

・更正の請求の期限に関する誤解 : ただし、事業の都合等で土地だけ先に遺産分割を成立させ、名義を変更していた場合などは、「分割が成立してから4カ月以内に更正の請求書を提出しなければならない」というルールを誤ってしまう場合があります。つまり、「特例を受ける宅地の分割は成立したが、預金など遺産全体の分割はできていない」場合は、特例を適用する宅地の分割が成立した日から4カ月以内となります。

・3年経っても未分割の場合 : 3年以内に遺産分割協議がまとまらない場合は「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書(以下、単に「承認申請書」と言います)」を申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに提出すれば、分割期限の園長が認められます。この2か月の「期限」には事情を考慮するような「ゆうじょ規定」が設けられていないので、1日でも過ぎてしまうと特例が適用できなくなります。

・特例対象となる土地の「選択替え」はできない : どの宅地を誰が取得するかによって、申告時に納付する税額が決定しますが、小規模宅地の特例を適用した宅地は最大で80%の課税価格が減額されますから、相続人の納付する税額に大きな影響を及ぼします。また、課税価格で減額されるという事は特例宅地を取得した相続人だけでなく、他の相続人の税金の元となる相続税の総額を少なくしますから、結果として全員の相続税が安くなります。

つまり、最初は高い路線価の貸駐車場を選択していたものの、適用面積が小さい事や減額率が少ない事から、「特定居住用宅地を選択した方が相続人全体で見た場合に納付する相続税が安くなる」と、申告をした後に判明した場合でも、いったん、法律に沿って適正に申告されたものを「適用する宅地を間違えた」事を理由として「更正の請求」はできないのです。

言い換えると、最初の申告の適用要件を誤って、法律に沿って適正に申告されていなかったのならば、別の宅地を選択する事が可能であるという事です。