会社を”後継者”に引き継ぐ

いわゆる“中小企業”は日本の企業の99%を占めていますが、2000年には経営者の10.56%に過ぎなかった70歳代以上の社長さんが、2023年には25.5%と「4人に1人以上が70歳代」となっています。(2024年中小企業白書より)

こうした、経営者の高齢化という時代背景から中小企業が廃業する理由の約3割が「後継者の不在」と答えています(日本政策金融公庫総合研究所「2023年中小企業の事業承継に関するインターネット調査)が、一方で、後継者に事業を承継すると承継後3年目以降からは売上高が増加していくとのデータもあります(㈱帝国データバンク「企業概要ファイル」を参考)。

日本企業の雇用と技術を守るために円滑な事業承継は、会社の未来を左右すると言っても過言ではありません。(今回はセミナー用に作成した資料を転載しますので、若干、引用データが古くなるのは了承ください。)

「会社を引き継ぐ」ということ

事業の承継というと、「会社の株式を後継者に譲る」イメージが先行しますが、社長の気持ちとしては、会社を成長させてきた経営方針や経営理念、築いた信用と人脈、育てた技術の担い手、従業員の安心なども後継者に引き継いで欲しいのではないでしょうか? 

・人(経営権)の承継 : 社長の持つ経営権、後継者の選定や育成など

・会社資産の承継 : 株式、土地や建物など事業用資産、預貯金などの運転資金や借入金など

・理念など知的資産の承継 : 経営理念、人脈や信用、技術と人材、経営know-how、顧客情報など

事業承継の3つの種類

円滑な事業の承継が会社の発展につながるのであれば、社長が高齢になればなるほど会社にとっての優先課題と言えますが、「やらなあかんと思うけど、具体的に何をしたらいいのか、わからん」と、いう社長さんが多いように思います。

・親族内承継 : もっとも多い承継パターンです。中小企業であれば社長の個人財産や時間をつぎ込んで成長させた会社も多いと感じていますが、そうなれば子供や親族を後継者と考えるのが自然だと思います。メリットとしては、「早くから後継者を選んでおくことで、人脈や理念など準備期間が長く取れます」 また、「社長の息子です。なんて、先代が元気なうちに紹介しておけば、従業員や取引先などの関係者から受け入れられやすくもなるでしょう。

ただ、デメリットとして、「後継者争いが親族間で起こる可能性がある」ことや「後継者に適した人材がいない場合がある」ことなどが考えられます。

・社内(従業員)承継 : 子供がいない場合や後継者にできない場合に会社の従業員に後を継いでもらうことがあります。メリットは「経営者がふさわしい人材を見極めた上で後継者にできる」ことや、社長と共に行動していた事から「経営理念やknow-how、人材、人脈など、知的資産が引継ぎやすい」ことも考えられます。

反対にデメリットとして、「経営者としての責任の大きさに引継ぎを辞退される恐れがあります」、親族でなければ株式を売買によって移すことが多いため、「後継者が株式の購入資金を用意しなければなりません」から、単純に経済的な理由から辞退する事もあり得ます。

・社外承継(M&A) : 親族や従業員に適切な人材がいない場合に、外部から幅広く人材を探すことができますし、現経営者は株式の売却による収入を得る事ができます。ただ、実質的に会社を手放すことになりますから、残された従業員の雇用を守るために、条件面で十分な話し合いが必要となるでしょう。


相続税を専門にしているので、正直に言いますと、M&Aなど法人税に詳しくないと十分に説明できない部分があります。ただ、実際に多いのは子供に会社を継がせる親族内承継ですから「贈与税」の知識が重要になり、「単純贈与か精算課税か納税猶予制度か、具体的な方法を悩むのはココから」です。