小規模宅地9 質疑応答事例の紹介2
小規模宅地の特例は課税価格を大きく減少させることから、適用が可能であれば必ず適用しておかないと、特例対象宅地を取得した相続人だけでなく、相続人全員が影響を受ける事になります。しかし、相続人への聞き取りや住宅地図などで「特例の適用に問題がない」と誤認してしまう事も起こり得ますので、内容次第で現地確認は必須です。
砂利敷きの貸駐車場に係る特例の適用について
いわゆる「青空駐車場」というのは、屋根や壁などの構造物がなく、地上にそのまま車を停める屋外の平面駐車場のことですが、アスファルト舗装のうえペンキで車室番号が書いてあるものや。砂利敷きでロープなどで車室を区切っているような、簡易な設備が施されている場合があります。
小規模宅地の特例の対象となる「貸付事業用」に該当する貸駐車場は「建物や構築物の敷地の用に供されている」必要がありますので、立体駐車場や門や塀で囲まれた月極駐車場(関西的に”モータープール”と言った方がイメージしやすいでしょうか。)は建物が建っており、アスファルト舗装も構築物になるので貸付事業用宅地として問題はありません。
悩ましいのは「砂利敷き」の駐車場です。実は、砂利やロープも構築物には当たると考えられていますが、平成21年に札幌地裁で「特例に規定する構築物とは、事業性を認識しうる程度に人的・物的に資本投下がなされた、ある程度堅固な施設であり、かつ、その施設上において、その施設を利用した事業が行われているようなものであることを要する」と公的な見解が示されたことで、「砂利は構築物だからOK」とはならないのです。
つまり、砂利やロープの設置時期が古すぎて、ロープが切れていたり、大半の地面が露出してしまっているような状態の駐車場では、転用や原状回復も容易であると認められることから、小規模宅地の特例は適用されないと考えられます。
地面の露出が何%や、砂利撒きから何年といった明確な基準がない事から、現地を確認した上で難しい判断を行うことになります。
老人ホーム入居後に生計一の親族が居住した場合の適用について
母親の介護のために生活費や日常生活の支援のために、実家近くの賃貸マンションに住んでいた長男夫婦が、3年前に母親が特別養護老人ホームに入った後で、1年間空家になっていた自宅をリフォームし入居しました。(生活費や日常支援を以前から続けており、同一生計と認められる事が前提となります。) その後、母親は自宅に戻る事なく老人ホームで亡くなりました。
ポイントが2点あります。
・生計一要件: 被相続人が老人ホームに入居する直前(あるいは相続開始直前)において、被相続人と同一生計であったこと。
・事業・賃貸への未供用: 被相続人が老人ホームに入居した後、その建物を他人に貸し出したり、事業用(店舗や事務所等)に利用したりしていないこと(空き家状態で維持されている、あるいは生計一親族が自宅として利用していること)。
実は、老人ホームに入所し「空家となった自宅に親族が移り住んだ場合には、特例の適用がなくなる」という法律の取り扱いが有るのですが、老人ホームに入居前から生計が一の親族は除かれています。
実務的に慎重に判断すべきは、「生計一親族」と認められるか?という点です。老人ホーム入居前において、日常生活の資力(生活費や医療費など)を共にしていた実態があるかどうかが重要です。別居していても送金等で同一生計と認められるケースもありますが、生計を一にしていた事実を明確にしておく必要があります。



