小規模宅地5 特定同族会社事業用宅地(会社に貸してる土地)

被相続人や、被相続人と生計を一つにしていた親族(生計一親族)が、支配権を有して経営・所有している会社(同族会社)に対して宅地を貸し付け、その会社が事業(工場・店舗・事務所など)に使っていた場合に、一定の要件を満たせば評価額を最大80%減額できる制度です。

個人事業の「特定事業用宅地等(80%減額)」の法人版とされ、後継者が会社事業をスムーズに継続できるよう支援することを目的として設けられています。

特定居住用宅地等や特定事業用宅地との併用

自宅の「特定居住用宅地等(最大330㎡・80%減額)」と自営事業用の「特定事業用宅地等(最大400㎡・80%減額)」とは完全併用が可能ですが、「特定同族会社事業用宅地」を含む場合は、「特定事業用宅地」と合算して400㎡以下となります。また、「貸付事業用宅地等」を組み合わせる場合は、限度面積の調整計算が必要なのは特定事業用宅地の場合と同じです。

特例の対象となる事業の例

典型的な例では、父が土地を所有し土地上には父が支配権を持つ同族会社の建物があります。この会社の事業内容は製造業や卸売業、小売業などです。父の相続後に長男(相続人)がその土地を相続するとともに、会社の役員として事業を引き継ぐ、ような場合です。

・貸宅地 : 同族法人所有建物の敷地を被相続人等が有している。
・貸家建付地 : 土地、建物を被相続人等が有している。

※同族法人が不動産貸付業を行っている場合は適用外です。

同族会社や土地を相続する人の要件

・同族会社の要件 : 発行済株式等の「50%超」を保有していること相続開始の直前において、被相続人および被相続人の親族など(一定の特別関係者含む)が、その法人の発行済株式の総数または出資総額の50%を超える割合を所有している必要があります。

・相続人の要件 : 土地を取得した相続人が、①相続税の申告期限においてその法人の役員であること、②その土地を申告期限まで保有していること、が要件となります。

・法人事業の継続の要件 : その法人が、相続税の申告期限まで引き続きその土地上で事業(店舗・工場等)を営んでいること。

適用上の注意点

特定同族会社事業用宅地等は、相続税対策としても大きな効果を持つ可能性があります。しかし、「相続税を下げるために同族会社を作って土地を使わせればよい」という単純な制度ではありません。

実際には、・土地の所有者、・建物の所有者、・法人の株主構成、・法人の事業内容、・土地建物の賃貸借関係、・地代の支払い状況、・相続で取得する人、・相続後の法人役員、・相続税申告期限までの土地の保有・事業継続、などを総合的に確認する必要があります。

特に、土地を個人が所有し、その土地を同族会社が事業に利用しているケースでは、土地と建物の所有関係や賃貸借関係を事前に整理しておくことが重要です。国税庁も、法人の事業に供されていた宅地等について、被相続人等と法人との関係や土地の利用状況を踏まえて適用関係を整理しています。

また、被相続人が貸付事業用の土地として使っている事が必要ですから、有償で法人に貸し付けていなければなりません。